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地方議員奮闘記

日経グローカル No.247 2014年7月7日 掲載記事

三沢市は、青森県の沿岸南部に位置し、人口は約4万1000人。在日米軍三沢基地が所在し、そこに所属の軍人・軍属とその家族で約1万人が住み、5人に1人がアメリカ人という国際色豊かなまちであり、行政・議会・市民が共に基地との「共存共栄」を推進している“基地のまち”です。また、1931年10月4日、当市の淋代(さびしろ)海岸を飛び立ったミス・ビードル号が世界初の太平洋無着陸横断飛行に成功した史実を有し、県立三沢航空科学館が建設されるなど“大空のまち”でもあります。

マニフェストとの出会い

2007年9月、私は単身、山形県酒田市で開催された「マニフェスト・スクール&シンポジウムin東北」へ参加しました。そこで早稲田大学マニフェスト研究所の北川正恭先生の講演を聴いて身体が熱くなるのを感じました。
 「お願い」から「約束」へ。この言葉は私の政治に対する考え方を大きく変えました。そこで、マニフェストの考え方を同僚議員にも理解をしてもらうため、青森中央学院大学の佐藤淳講師(早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員)に協力いただき08年11月、青森市で県内で初めて「マニフェスト・スクール青森」を開催しました。三沢市議会からも7人が参加し、私たちのマニフェスト運動の原点になっています。その後、葛藤を経て、研修会に参加した議員のうち6人が大会派を離脱し、10年3月に会派「みさわ未来」を結成しました。会則を作成し、その目的に「本会は、みさわの未来に責任ある政治を実現するため、市民の皆さんの生の声を聴き、市民と共に、政策・マニフェストを協働立案し、市民生活向上と市政活性化に寄与します」と書き込み、会派マニフェストの作成と実現を目標に政治活動を行うことを宣言しました。

「みさわドリームプラン」作成

同年6月から「議会報告会&タウンミーティング」を定例会ごとに開催し、タウンミーティングでは、ワークショップの手法を取り入れ、会派マニフェストの作成に着手しました。
 初めの2回のタウンミーティングでは、テーマを絞り込まず、三沢市の抱える問題点を市民から挙げてもらい、3回目以降はそれを行財政・議会・生活・環境、健康・医療・福祉、産業・経済、建設・都市計画、教育・文化のジャンルに分けて、現状、方針、三沢市のあるべき姿の項目で意見を集約しました。6回のタウンミーティングの結果を踏まえ、会派内でジャンルごとに同上の作業を実施。政策を8つに絞り込み、政策ごとにワークショップを行い、20の提言にまとめ「みさわドリームプラン~市民の8つの声と20の提言~」と命名しました。
 このドリームプランの説明会を開き最終提案を10年3月にまとめ、6月の三沢市長選挙に立候補を表明していた種市一正市長の選挙公約に「みさわドリームプラン」を取り入れるよう、4月に直接本人に要望し、文書での回答を求めました。
 種市市長からは「政策全体の方向性は概ね理解できる」とした上で、個別の20の提案についても約7割については検討し実現を目指す、との回答を文書でいただきました。この活動が評価され、「マニフェスト大賞」の地方議会の部で10年、11年と2年連続で優秀賞を受賞することができました。

マニフェスト検証で反省点

マニフェストとは、政策に分かりやすい数値目標と手法を掲げ、後からチェックしそれを反映する仕組みで、市民参加を兼ね備えた体系的な政策集です。つまり、住民の皆さんと交わす約束(契約)であることは言うまでもありません。マニフェストの先進地では、主に首長選挙において、市民の手によるマニフェスト型の公開討論会や当選後のマニフェスト検証大会が数多く開催されています。
 マニフェストが選挙において重要度を増すことによって、今までの政治風土を打ち破って、若い立候補者が政策で選挙を戦う環境が整いつつあり、若い地方議員や首長が多く誕生しています。このことは、今後の地方主権時代に向け大きな力を与えてくれていると思うのです。
 しかし一方では、古い政治風土が変えられず、政治を志す若い立候補者が減少し、多選議員が増加している地域があるのも見逃せない現実です。マニフェスト型選挙を定着させるためにも、「みさわドリームプラン」の市長公約への取り入れだけでなく、毎年マニフェストの進行状況を検証することが何より重要です。
 しかし、会派でドリームプランに基づく進行状況の検証作業や一般質問による提案等は行っていますが、市民を巻き込んだ検証はできていません。市長公約への盛り込みから既に3年。来年6月に市長選挙を控え、心からの反省を込めて遅ればせながら11月に会派みさわ未来の検証大会を開催したいと考えています。これは我々会派みさわ未来を検証する大会でもあります。
 定期的にマニフェストを検証しマニフェストサイクルを回して、初めてマニフェストの実効性が証明されるのです。また、私自身も毎年続けていたマニフェストの検証「マニフェスト通信簿」を2年間休んでいました。今回の寄稿を契機に自分自身のマニフェストの検証再開をここに誓いたいと思います。

会派のあるべき姿を模索

ここに来て会派の運営について思うことがあります。市民から「みさわ未来は現在5人しかいない。様々な提案や条例改正案を何度出しても何にも通らない。もっと仲間を増やさなければ真の議会改革は進まないのではないか」と言われるようになりました。確かに、会派の提出した議案等は全て否決されてきました。会派が政策集団としての集まりならば、会派間で考え方や手法は当然違います。その中で、どのように議員間討議を重ね結論を導いていくのか。私達は、本当に成案を得るべくどこまで時間を割いて辛抱強く取り組んできたのか。今、そのことを思う時、会派の独走があったのではないかと考えさせられることが多々あります。
 議会の議決責任を果たすためには、会派間、議員間の討議が必要だと改めて感じています。会派のあり方は私たち議員が忘れがちな問題です。善政競争の時代にあって、政策集団である会派のマニフェストがあって当たり前と言われるような議会の態勢づくりのためにも、議員自身が変わっていかなければならないのではないでしょうか。